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トランプ関税の影響で日経平均株価もS&P500も大きく下落し、含み益がなくなったり元本割れしている人も多いと思います。


「米株神話の崩壊」「世界的な不況が来る」「まもなく暴落する」などというSNSの情報を見て不安に感じている人もいるかもしれません。
まずは、安心してください。2~3年もすれば「そんなこともあったね。あの時やめずに続けていて良かった」となっています。目の前の株価に一喜一憂する必要はありません。
このコラムでは、いま株式市場で起きていることをお伝えするとともにみなさんが誤った行動をしないように投資の原理原則をお話ししていきます。
いま株式市場で起きていること
トランプ関税による景気悪化不安により株式から債券やゴールドの安全資産に資金が流れている
なぜ、このような動きが起きているのか?
『関税⇒物価高⇒モノが売れない⇒不況⇒株安』を投資家たちが恐れ、これから不況が起きる前に株式を売却しておこうと考えているからです。
関税とは、輸入品に一定の税金をかけることです。
例えば、トランプさんは日本車に25%の関税をかけました。そうなると、500万円で輸入した日本車に500万円×25%=125万円の税金が上乗せされるので、アメリカの市場では625万円以上で売りに出されます。
これが「関税=物価高」の原因です。
トランプさんは全ての輸入品に10%以上の関税をかけることを発表したため、アメリカではこの先10%以上物価が上がる可能性があります。
物価高になるとモノが売れにくくなり経済が悪化して不況になります。当然、不況になると株価は下がるので、そうなる前に多くの投資家が株式を売却しているから目の前で大きく株価が下落しています。
そもそも株価はどうやって決まっているのか?
株価=EPS×PER
EPS=1株当たり利益=企業の利益
PER=株価収益率=株価が1株当たり利益の何倍になっているか?=投資家の需要
つまり、株価は企業の利益とその株をどれだけの人が欲しがっているか(投資家の需要)で決まっています。
ですので、株価が上がったり、下がったりしているということはEPSかPERに変化があったということになります。
では、いま株価が上がっているのはEPSが下がっているのか、PERが下がっているのかのどちらかになります。
EPSが下がっているということは景気が悪く企業の利益が小さくなっているということ。
PERが下がっているということは投資家が株式から他の資産に資金を移しているということ。
みなさんはどっちだと思いますか?
答えは
PERが下がっている
です。
実際の日経平均株価のEPSとPERを見てみると、PERが大きく下がりEPSはほとんど変わっていないのが分かるかと思います。S&P500のEPSとPERのデータは探しきれませんでしたが、おそらく同様の結果だと思われます。

今株価が下がっている理由は「不況が来るかもしれない」という恐れから投資家がリスク回避行動(株式から他の資産に移し替え)をしているというのが分かります。
であるならば、僕たちが次に考えなければいけないことは「本当に不況が来るのか?」です。
本当に不況は来るのか?

トランプさんは株価の回復に自信を見せています。
トランプは何を根拠にこう言っているのか?
その答えが
関税で得た税収で大規模な減税をする
です。
トランプ政策の目玉は減税です。
減税すれば消費行動が活発になり、企業の売上が上がり景気が良くなります。
みなさんも消費税がゼロになったり、所得税の減税で手取りが増えたら今よりもモノを買いやすくなりますよね?
さらにトランプは企業の法人税も減税する予定です。
企業の税負担が軽くなれば利益が大きくなりその分が給料として従業員に還元されます。そうすればさらに消費行動が加速します。
つまり、トランプはこれから減税策を実践すれば物価高による景気悪化よりも消費行動の促進、企業の利益の拡大によって経済は活性化し株価が回復すると考えているということです。
さらにトランプは原油価格の引き下げとFRBへの利下げ要求を進めています。
原油価格が下がるとあらゆるモノの値段が下がります。なぜなら経済は物流で成り立っているからです。僕たちが手に取っているモノは全てどこからか運ばれてきたモノです。モノを運ぶにはエネルギーが必要になります。つまり全てのモノには物流コストがかかっているため、エネルギーが安くなればあらゆるモノの値段が安くなるということです。
FRBへの利下げ要求の背景は景気の刺激です。
利下げとは金利を下げることです。
「金利=普通預金金利」と考えていただければOKです。
預金金利が低いと、みんな預金せずに株式などの資産に投資しようとします。
さらに、企業はお金を借りやすくなるので積極的な設備投資が可能になり売り上げと利益の拡大につながります。
つまり、金利を下げると景気は良くなります。
トランプさんは関税による物価高により景気が悪くなるリスクに対して、減税と利下げで対応しようと考えているということです。
トランプの考えはハマるのか?
その答えはトランプ大統領の第一期目の政策にあります。
トランプが第一期目にやったことは『関税⇒自国産業守る⇒物価高に減税で対抗⇒FRBの利下げで経済を刺激』
あれ、今やろうとしていることと全く同じですね。
では、結果はどうだったんでしょうか?

見ての通り、トランプさんが就任してから、関税による一時的な株安はあれどコロナが流行るまで株価は右肩上がりです。トランプさんの就任中に何度もS&P500は史上最高値を更新しました。
今回との違いは政策を打つタイミングです。
第一期目は、まず減税で景気を刺激しその後に関税をかけていきました。これはアメリカの景気が底までよくなかったからです。
ただ今回は違います。アメリカの景気がある程度良い状態からのスタートです。ですので、まず先に大統領令で発動できる関税をかけつつ、議会の承認を得て減税を進めていく流れになります。
トランプさんが強く意識していることは2つです
アメリカファースト
バイデン大統領との違い
今回は特にバイデン大統領との違いを意識していることがうかがえます。
アメリカの製造業や中小企業の工場などがたくさん倒産してしまった。それがバイデン大統領の負債とトランプさんはよく口にします。
だからまずは関税をかけることでアメリカの製造業や中小企業を守る姿勢を見せたと言えるかもしれません。
いずれにしろこれからの注目は
アメリカに不況が来るのか?
その一点です。
もしアメリカの経済が悪くなることがあれば、企業の利益が縮小しEPSが下がり株価が下がることになります。そうなればさらに株から他の資産へ資金が流れ、PERも小さくなり株が一気に下がるでしょう。
では、どうすれば良いのか?
取り崩し開始まで5年を切っている人⇒債券へのリバランスを急ぐ
そうでない人⇒株式の積立を継続
これでOKです。
短期的に株価はもっと下がる可能性があります。
しかし2~3年後にはある程度戻ってくると予想しています。
なぜなら今回の株安は原因が明確だからです。
トランプ関税による景気不安
これが原因です。
ですので、この景気不安が杞憂に終われば株価は回復してきます。
リーマンショックのように明らかな経済的なショックであり、見通しのつかない状態ではないということですね。
この原因がはっきりしている株安かそうではないかの判断はとても大事になります。
例えばコロナショックです。

コロナショックの時にS&P500は約30%下落しました。この時に考えることはこの株安は原因がはっきりしているかどうかです。
これはコロナという原因がはっきりしているパターンです。
つまりコロナが終われば株価は回復してくると予測できることになります。
事実、コロナショックは30%と大幅な下落であったにもかかわらず、わずか6か月で元の株価まで回復しています。
このように原因がはっきりと分かっている場合は、その原因が取り除かれれば問題なく株価は回復してくるということになります。
ただし、今回の株価下落において一つの不安があるとすれば、トランプの減税策とFRBの利下げがハマらなかった場合、アメリカ経済が不況になる可能性があるという点です。
経済は一度不況になると回復までどれくらいかかるか見通しがつきません。
そうなると株にとっては大きな逆風となります。
そのため、資産の取り崩しまで5年を切っている人は債券へのリバランスを考えると良いでしょう。
実際にここ数か月のチャートを見てみると債券価格が上昇し、株と債券の分散投資の効果が大きく見てとれます。

本来であればこうなるまえにリバランスを済ませておくのがセオリーですが、まだ遅くありません。本当に景気が悪くなると株安と債券高はさらに加速します。その前に少しでもリバランスしておくと、その時のダメージを抑えることができます。
逆に資産積み上げ期の人にとってはドルコスト平均法を活かして安くなった株を大量に買うチャンスですので積立投資を継続していきましょう。
僕はこのタイミングでオルカンの積立金額を5万円から10万円に増やしました。2~3年後に端株が戻っていると予測するので今は買い場という判断をしたからです。
ただ、みなさんにも買い増しを勧めるつもりはありません。今の積立投資を続けていければOKです。余裕がある場合は積立金額を増やすのも良いかもしれません。
こういう相場を経験しておくというのは非常に大切になります。
「自分が老後を迎える前にはやっぱり債券を買っておかなきゃいけないな」とか「こういうタイミングが来る前にリバランスが大事だな」とか「大統領選の後には株価が結構動くんだな」とか、いろいろと学びの宝庫です。
まとめ
今回のコラムでは、いま目の前で起きている株式相場の動向をまとめて解説しました。
相場は誰にとっても平等にやってきます。
その時にとるべき行動はみなさんそれぞれで異なります。
SNSやYouTubeの情報に踊らされることなく冷静に判断していきましょう。
何か質問や疑問がありましたらいつでもLINEにメッセージ下さい。
また、こういったコラムをこれからも送って欲しいという意見が多い場合は継続していければと思っていますので、ぜひそういった一言も送っていただけると幸いです。